ほのかにアートな東京ライフ。都内でわさわさ働くまりもの日記。趣味は海洋生物、フランス系芸術、音楽、写真。Copyrigt-©lamusique All Rights Reserved. lamusique@excite.co.jp


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沖縄。

車道で一羽の小鳥が車にはねられた。二度と起き上がることのないその屍の傍らには、羽をはばたかせ、チィチィと声をあげて体をつつくもう一羽の小鳥の姿があった。小鳥は一日中その場を離れることがなかったそうだ。

長年連れ添った連れ合いか、それとも親子だろうか。
きっとまた共に空を飛べると信じたのだろう。



学生時代、大学のガラス窓にぶつかった鳥を看取ったことがある。
講義に向かうところだったが、上層階の窓に直撃してま逆さまに落ちる鳥を目の当たりにして、ほうってはおけなかった。中庭に横たわる鳥の元にかけつけた時には既に虫の息で、夏の日差しが暑かろうと持っていた日傘をさし、手洗い場から水を汲んできて飲ませてやった。

実を言えば鳥が苦手な私は、あとは獣医にでも診てもらえばよいかと思い、ある職員に事情を話したところ「そのうち死ぬだろう。あとでホウキで掃いて捨てるから授業にいけばよい」と優しく言われ、その人に悪気はなかったのだが、私は途端に悲しくなった。

今にも消えそうな小さな命を目前にして私は不安でたまらなかった。本来なら山を自在に飛びまわる自由人が、人間の作った奇妙な建物のせいで命を落とし、放置されてホウキで掃いて捨てられるのかと思うと言葉にしがたい感情に苛まれて、後から後から涙があふれた。横たわる鳥に日傘をさし、泣きながら水をやる私の姿は、通行人の目には奇妙に映ったことだろう。どれほどの時間が経過したのかは分からなかったが、やがて鳥は息を引き取った。何もできないと分かっていても、傍にいたかった。人も鳥も、何一つかわりはしない。
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by lamusique | 2007-02-26 02:40 | たわいないお話