ほのかにアートな東京ライフ。都内でわさわさ働くまりもの日記。趣味は海洋生物、フランス系芸術、音楽、写真。Copyrigt-©lamusique All Rights Reserved. lamusique@excite.co.jp


by lamusique
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すきということば。

友人にそれとなく想いを告げられて、彼の気持ちに答えられないことを申し訳なく思った。この歳になって改めて告げられる「すき」という言葉の重みに、想像以上に打ちのめされる。

「僕をなんとも思っていないことはよく分かってるよ。でも、好きって言いたかった」――。それは目前にいる彼のまなざしを超えて、私が久しく会うことのなかった思い人を想起させ、しばらく封印していたある感情をよみがえらせた。こんなにも真剣な彼の言葉は、あろうことか、彼ではなくまったく別の次元に生きる別の人を思い起こさせたのだ。

私は、好きな人に好きだと言える彼を少しうらやましく思った。好きだと言ってくれる彼を好きになれない私を恨めしく思ったし、好きだと伝えてくれる彼をいとおしいとも思った。そして最後には、あの人に会いたいという切ない気持ちだけが残った。

すきという言葉に込められる想いは、実のところ、とても少ない。好きだと自覚するまでの過程も、二人で過ごした時間の重みも、この二文字で表そうとした途端に画一化される。言葉にした彼の想いはほどなくして雑踏にかき消され、私のあの人への想いはいまだに所在なげにそこにころがっている。信じきれずにいたあの人のそれもまた、私の鼻先で宙に浮いたままだ。単純で愛想のよいこの言葉を、私はいまだに疑っている。人はきっと私を天邪鬼だというだろう。
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by lamusique | 2007-08-27 03:18 | たわいないお話