ほのかにアートな東京ライフ。都内でわさわさ働くまりもの日記。趣味は海洋生物、フランス系芸術、音楽、写真。Copyrigt-©lamusique All Rights Reserved. lamusique@excite.co.jp


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ハゲタカ・リベンジ

今さらながらに「ハゲタカ」を買ってみた。会社の行き帰りにチョコチョコ読む程度なので、やっとこさ上巻を終えたところで一向に先に進まないのだが、人望厚くて仕事ができていい女が彼女で、小憎たらしいことにジャズピアノまで弾ける鷲津という人物は男も女も憧れるいい主人公として描かれている。

ビジネスの世界で、こんなに旨く話が進んで行くことはそうそうない。ドロドロとした部分も描き出されているが、実際はこんなものじゃないはずだ。ビッドで負けた側の苦悩とその後始末の悲惨たる様も描いてほしい。それでも、この作品のいいところは、あたかも自分が登場人物の一人であるかのように錯覚させる臨場感や、登場人物の持つ独特の趣味や世界観が物語の幅を広げているところだろうか。



昔、好きだった人が某外資系投資銀行に勤めていた。仕事の話は滅多にしなかったが、ほろ酔いになると話す彼のディールは100億を超え、聞いているだけで目がチカチカするような気分になったのを覚えている。来る日も来る日も「忙しい」と言われて会うこともままならない状態が続き、彼の言葉を信じられなくなった私はほどなくして別れを告げた。

後に、彼と同じ会社に勤め、オフィスでは斜め前に座っていた大学時代の友人と話をした時に「そんなに忙しいものかな」とこぼすと、「俺でもフルで時間があくのは2ヵ月後。体調が悪いと言えばタクシーで駆けつけるほどだったのに、疑われる先輩がかわいそうだ。」と呆れられて、もはや連絡の取れなくなった彼に対して突如として押さえていた何らかの感情がわき上がったのを思い出す。

その感情が、いつだって私の事情を憂先してくれた彼に対する感謝からくるものなのか、それとも二人の間に愛はあったのだというセンチメンタルな安堵感からくるものだったのかはもう分からない。実を言うと、それから一年ほどして彼から連絡があり、何事もなかったかのように時折食事に出かけたりする友人になったが、その時のいきさつはお互いに口にしたことがない。厳密に言うと、彼は「何かしようとしたが、できなくて辛かった」とだけ言い、私は「大好きだった」とだけ答えた。共に過ごす短い時間を、過ぎたことへの文句で埋め尽くしたくないという大人ぶった理性が結局は二人の関係に永遠の終止符を打つことになってしまったらしい。



思いつくままに昔話をつらつらと書き綴ってしまったが、何故彼なのかというと、本のタイトルを見た時に彼が何気なく言った一言が思い出されたから。付け加えれば、世間サマがハゲタカブームに湧いていた時にはまだその本を手にとれるほど失恋の傷が癒えておらず、今になって今さらのハゲタカリベンジに走ったというわけだ。

――「親御さん、俺と付き合うの嫌がってないかな。ハゲタカ産業だから不安でさ。」
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by lamusique | 2008-09-10 14:14 | 本日のまりも